![]() |
|
![]() |
| 2006.10.14 |
|
コスティリオーレから車で30分の距離に、アルバという町がある。どこにでもありそうな田舎町だが、10月となればこの町は世界の美食家たちの羨望の眼差しを浴びる町となる。白トリュフ――その高貴な香りから、まるでジュエリーのような扱いを受けるこの貴重な食材は、アルバが名産地とされているからだ。10月には町をあげて白トリュフのフェスタが開かれ、1年で一番、活気に満ちた季節を迎える。 “せっかくアルバの近くで10月を過ごすのだから、白トリュフを思い切り食べておかなければ!“と、有志7名で固い決意をし、授業のあいた土曜の午後を狙って、この白トリュフを食べにいくことにした。 今回お世話になったレストランはアルバのお隣、カネッリにある「サン・マルコ」。ICIFともお付き合いのあるレストランで、こちらのシェフ兼マダムは、先日行われてブラジル人のサッジョ・フィナーレにもいらしていたほど。 “ボンジョルノ!”と言いつつ店内に一歩足を踏み入れれば、そこには白トリュフの香りが充満。それもそのはず、ランチというのにほぼ満席に近いテーブルの上には、トリュフがゴロンと乗っかっている。こんな光景は見たことがなく、一同、やや興奮してしまう。 テーブルについてメニューを相談。白トリュフを満喫することが今回の目的ということで、お料理はそれと相性のよいものをオーダーする。そしてテーブルで2つ白トリュフお買い上げる。その立派な姿に、思わず息を呑む。 さて私たちが感動したのは、プリモ・ピアットに出てきたセージ風味のバターでソテーしたTajarin al burro e salvia。Tajarin とは卵の入った細い細い手打ちパスタで、このピエモンテ州ならではのもの。この極細のパスタがまるで白トリュフの香りを絡めていく。シンプルを極めた一皿であるだけに、白トリュフの魅力をぐっと引き立て、口の中で極上のコンビネーションを表現してくれる。誰もが言葉にならない感動を得たようで、「人生で食べたイタリア料理の中で一番美味しい」と語ったもの多数。それほどまでに感動的な一皿だった。 結局セコンド・ピアットも注文し、さらに白トリュフを追加オーダー。ワインはバローロの1989年のもの。すでに色がオレンジ色に変わり、ベストな飲み頃を迎えている。ソムリエのアドバイスを元に、各々がジャンニさんの授業を思い出しワイングラスを光にかざし、傾け、口に含み評価を下す。こんな姿、周りのお客様からは異様に写ったに違いなく、ちょっと苦笑してしまう。 これだけ美味しいものを頂いた幸せ感は格別で、皆が始終笑顔だったのが印象的。サン・マルコのオーナーとマダム、そして彼らをご紹介してくださった野沢さんに感謝、感謝! |
| 2006.10.15 |
|
今日はコスティリオーレで過ごす、最後の日曜日。段取りよく研修への荷造りをはじめる人、たまったアイロンをかける人など、過ごし方はまちまち。最後の思い出作りに・・・とお城の前の公園の中にあるキオスコでランチをする。ここはイチフ生徒御用達のバール。日ごろは夜にしかお世話になることはないが、ここはICIFの生徒なら誰もが知るジューシーな手作りハンバーガーを食べることができるので、食事のない日曜や小腹がすいた時には重宝している。生徒に人気のあるハンバーガーは2種。チーズバーガー4ユーロ、ハンバーガー3.8ユーロ。この手ごろな価格と、オープンエアの空間が生徒に人気の秘訣かも? |
| 2006.10.17 |
|
午前中にはボローニャから来た外来のシェフによるデモンストレーションが行われる。朝届くはずの食材がなかなか業者から納入されずに、授業開始は約1時間も遅れてしまうが、私たちもこの2ヶ月間でだいぶイタリア式になれたもの。「こういうのってイタリアっぽいよね〜、日本ではありえない!」と言いながら気長に待つ。 今回のシェフはフランスで7年間もの修行を経た方で、ヴィジュアルがとってもアーティスティック。まるで音楽家や建築家ともとれるような繊細な振る舞いで、目からウロコが落ちるような斬新なアィディアを盛り込んだ料理を次々と仕上げていく。生のマグロとパッションフルーツを組み合わせてみたり、フレッシュ・ラビオリの代わりにワンタンの生地を使ったり、デザートにセロリを生かしてみたり。実際に彼のレストランでも、しょうゆやわさびといった日本の調味料や食材も積極的に取り入れているのだとか。それにしてもICIFで日本人に馴染みのあるワンタンの生地を目にするとは! 美味しければ素材の組み合わせは何でもアリ、と基本的なことを教えていただいたように思う。 |
| 2006.10.20 |
|
サッジョ・フィナーレを明日に控え、今日は実習の最終日。ドルチェの中から、ティラミス、トルタ・ディ・チョコラート、ストゥルーデルを作る。前者2品は日本でも馴染みのあるドルチェだが、ストゥルーデルはトレンティーノの伝統的なお菓子。砂糖が高価だった時代の伝統的なレシピをもとに、生地に砂糖を入れずに作った。りんごとラムの風味が引き立つ素朴な味。昔からイタリアのそれぞれの地方で受け継がれてきたレシピを知ることができるのもICIFの魅力のひとつと感じた。 ティラミスを仕上げて、この2ヶ月の実習が終わる。ほっとした気持ちも否めないが、この一人一台のミニキッチンで料理をすることがもうできなくなると思うとちょっと寂しい気持ちにもなる。 午後にはいよいよスタッフのひとり、ダニエッラから一人ひとりの名前と研修先が発表される。ドキドキする一瞬。私は研修に行かないけれども、その緊張感は十分に伝わる。研修先はピエモンテ州からシチリアまでイタリア全土に研修先が散らばり、19人ともいよいよお別れの時であることを実感。寂しさも募ってくる・・・が、そんな惜別の念に駆られている余裕もなく、明日の準備にとりかかることに。 グルッポAからDまで、それぞれにアンティパスト、プリモ・ピアット、セコンド・ピアット、ドルチェが割り振られる。リカルドさんからの的確なアドバイスがあるが、あとの仕事の進め方はそれぞれの班で決めなければならない。私の属するグルッポCは、セコンド・ピアットを担当することに。10分程度のミーティングを終え下準備に取り掛かる。お客様を50人と設定し、ソースやデコレーションのパーツを効率よく作り上げていく。皆のキビキビした行動に思わず、見とれてしまった。 |
| 2006.10.22 |
|
卒業発表の日、朝から調理場は戦争状態。今日は村のVIPやピエモンテ州議会の議員さんたち、村でお世話になった方々60名を招待して、この2ケ月間の集大成をフルコース披露し、イタリア人の評価を得る試練の場だ。グループごとに担当する料理を責任持って仕上げるのだからより一層グループの心を一つに協力し合うことは必須だ。ワイワイガヤガヤの中でいつもとは違った緊張が走る。事前の入念な打ち合わせも下準備もいざ本番になればハプニングや変更が続出する。そんな時の急な内応を見ているとこの2ケ月の成果が感じられた。一人だったらとても成しえないことを仲間がいたからこそできた。そして雨にもかかわらず食べに来てくれた沢山のお客様といつも温かく見守ってくれたICIFのスタッフに心から感謝。今日という1日はとてもハードだったけど貴重な体験ができました。みんな、ありがとう。 |
| (マスターコース受講者) |
| > BACK |